抜け毛について学ぶ

抜け毛の原因徹底解剖|女性特有の脱毛症・内臓疾患など

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抜け毛の原因徹底解剖|女性特有の脱毛症・内臓疾患など

抜け毛には、正常なものと異常なものがあります。異常な抜け毛の特徴を知っておけば、早期に気づくことができます。さらに抜け毛の原因には、大きな病気が隠れている場合があります。今回は抜け毛の原因や女性特有の脱毛症などについて、タイプや原因別に詳しく解説します。
  • 松沼 寛

    HIROSHI MATSUNUMA

    1998年03月
    名古屋大学医学部 卒業
    1998年04月
    岡崎市民病院 勤務
    2000年04月
    名古屋大学医学部付属病院 勤務
    2008年07月
    市立四日市病院 勤務
    2020年04月
    イースト駅前クリニック岡山院
    院長就任
    2022年05月
    イースト駅前クリニック女性外来院
    院長就任
    資格
    泌尿器科専門医
    所属学会
    日本泌尿器科学会

抜け毛のタイプ

  • 正常な抜け毛
  • 異常な抜け毛

抜け毛には「正常な抜け毛」と「異常な抜け毛」の2つのタイプがあります。正常な抜け毛は1日50~100本程度で、そのうち半数はシャンプーの際に抜けます。髪は全体的に太くてハリがあり、根元は膨らんでいて毛先に向かって細くなるのが特徴です。

異常な抜け毛はシャンプーで流れる抜け毛や枕につく抜け毛の量が増える、少し引っ張ったりするだけで髪が抜けるなど、抜け毛の量が急に増えます。髪も全体的に細くなり、根本の毛根がない、ギザギザしている場合は、異常な抜け毛のサインです。気づいたら、ひどくならないように早めの対策が必要です。

抜け毛の原因

抜け毛がひどくなる原因には、大きく分けて以下の3つがあります。それぞれ詳細に解説します。

抜け毛の原因となる一時的な環境等の変化

これらが原因の抜け毛は一時的なもので、日常生活を見直せば改善できます。あまり気にする必要はありませんが、心当たりのある人は一つずつ見直しましょう。

季節の変化

季節の変わり目に抜け毛が増えるのは、生理的な体の反応で、動物の換毛期とも似ています。特に3月頃と11月頃は抜け毛が増える時期です。3月頃は冬の乾燥やターンオーバーの乱れ、11月頃は紫外線による頭皮ダメージが原因です。「季節の変わり目に抜け毛が増えた」と感じる人は、前の季節の過ごし方を見直すと抜け毛を減らせるかもしれません。

生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れは、睡眠不足や食生活の乱れにもつながります。睡眠不足は発毛に欠かせない成長ホルモンや女性ホルモンの分泌を減らします。食生活の乱れは、健康的な髪を作るための栄養素が不足し抜け毛ができやすい頭皮環境を作る危険性があります。

過剰なストレス

過剰なストレスは自律神経を乱れさせ、全身の血流を悪くします。血流が悪くなると、健康的な髪を作るために必要な栄養素や血流を、頭皮の隅々まで行き渡らせることができなくなり、抜け毛が増えてしまいます。

過度なダイエット

過剰なダイエットは、健康的な髪や頭皮を作るために必要な栄養素が不足するだけでなく、女性ホルモンのバランスが乱れることで抜け毛が増えやすくなります。

間違ったヘアケア

強い力での洗髪・頻度の多い洗髪、髪を濡れたままにするなどを行うと頭皮や毛根を傷め、抜け毛が増える可能性があります。

パーマ・カラーリング

パーマ・カラーリングは頭皮の刺激になります。特にパーマ・カラーリングでしみたり、違和感を覚えたりする人は、頭皮にダメージを与えている可能性があります。1度で急激に抜け毛が増えるよりも、繰り返し行うことで少しずつ頭皮ダメージが蓄積し、ヘアサイクルが乱れ抜け毛が増えるリスクが高くなります。

薬の副作用

「薬の副作用で抜け毛が起こる」と聞くと、抗がん剤をイメージする人が多いでしょう。しかし、抗がん剤以外にも抜け毛が増える薬はたくさんあります。

皮膚の乾燥に多用されるヘパリン類似物質は抜け毛を起こしやすいといわれています。その他にも、高血圧や高脂血症や糖尿病の治療薬、イブプロフェンやインドメタシンなどの非ステロイド性の内服薬にも抜け毛を起こすリスクがあります。抗がん剤以外の薬剤による抜け毛は、症状が現れるまでに数か月かかるケースも多く、原因の特定に時間がかかる場合があります。

抜け毛の原因となる進行性の脱毛症

加齢だけでなく、間違ったヘアケア・生活習慣などが継続された場合も進行性の脱毛症になるケースがあります。ここからは、抜け毛の原因となる進行性の脱毛症を解説します。

FAGA(女性男性型脱毛症)

頭頂部の比較的広い範囲の髪の毛が薄くなる状態です。男性とは異なり、更年期に多くみられます。女性ホルモンバランスの変化やホルモンバランスの乱れによる男性ホルモンの影響、甲状腺などの病気の影響が考えられていますが、まだはっきりとした原因は解明されていません。

(※1)

びまん性脱毛症

頭頂部だけでなく、髪全体がまばらに薄くなる状態です。円形脱毛症や男性型脱毛症とは異なり、薄くなった部分の境界線が分かりにくい脱毛症です。原因はFAGAや休止期脱毛症です。休止期脱毛症はヘアサイクルが乱れ、抜け落ちる髪の量が増え長い毛が抜けるのが特徴で、原因は特定されていません。

産後脱毛症

分娩後脱毛症ともいい、産後数か月で一気に抜け毛が増える状態です。妊娠中に多く分泌されている女性ホルモン(エストロゲン)には、髪を健康に保ちヘアサイクルを伸ばす働きがありますが、産後、女性ホルモンの分泌が急激に減ることで、ヘアサイクルが元に戻り急激に抜け毛が増えるのです。さらに、出産・育児の身体的・精神的ストレス、産後の睡眠不足や不規則な生活も原因となります。

牽引性脱毛症

ポニーテールや三つ編みなど、同じヘアスタイルで強く頭皮を引っ張っていることで起こる脱毛症です。ヘアカラーやヘアアイロンなどで、髪を強く引っ張る人も起こりやすい脱毛症です。生え際に起こりやすく、頭皮を引っ張る習慣を減らすと、徐々に改善する脱毛症です。

ひこう性脱毛症

乾燥した細かいフケが頭皮を塞ぎ、毛穴にいる常在菌のマラセチア菌が増殖します。マラセチア菌が増殖すると、毛穴が炎症を起こし、ヘアサイクルが乱れて抜け毛が増える状態です。額と頭にできやすく、徐々に細い髪しか生えなくなります。ホルモンバランスの乱れやストレス、アレルギー体質が原因です。

円形脱毛症

円形や楕円形の脱毛が頭に突然できる脱毛症です。10円玉くらいの大きさのものから、頭全体に広がるもの、体毛がある全身にできるものまで種類はさまざまで、複数できることもあります。

以前は、ストレスが原因といわれていましたが、最近の研究では自己免疫疾患が原因で円形脱毛症が起こることも分かってきました。自己免疫疾患は自分の免疫に異常が起こり、自分の体を異物と認識して攻撃する病気です。自分の毛根を異物と認識して攻撃するため抜け毛が増えるのです。他にもアトピーや遺伝、女性ホルモンバランスの乱れが原因といわれています。

(※2)

脂漏性脱毛症

頭皮の皮脂が過剰に分泌されベタつくことで、頭皮に炎症やニキビ、湿疹ができ頭皮環境が悪化してヘアサイクルが乱れ、脱毛が起こる状態です。ホルモンバランスや食生活の乱れだけでなく、多くは頭皮の常在菌であるマラセチア菌が異常繁殖することが原因です。

抜け毛の原因となる内臓疾患

抜け毛の原因となるのは、生活習慣や食生活、ホルモンバランスだけではありません。ここからは、抜け毛の原因となる内臓疾患を4つ紹介します。

膠原病(こうげんびょう)

膠原病は1つの病気の名前ではなく、いくつかの病気を表す名前です。全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、悪性関節リウマチなどさまざまな病気が分類されています。膠原病は皮膚や内臓など全身に炎症・変性を起こし、症状が現れる病気です。発熱や関節炎、倦怠感、皮膚や筋肉、内臓などの症状があり、脱毛症も見られます。現病の治療が進むと抜け毛も抑えられます。

(※3)

バセドウ病

バセドウ病はのどにある甲状腺からホルモンが過剰に分泌され、甲状腺の働きが強くなる病気です。全身の代謝が活発になるため、抜け毛が増えやすく、成長しない髪もどんどん抜けてしまいます。バセドウ病の治療が適切に行われれば、抜け毛の進行を抑えられます。

梅毒

梅毒は性行為またはそれに準じる行為で感染する病気で、キスだけでも感染します。感染当初は、性器や口腔の粘膜やリンパ節に症状がでますが、感染から数か月が経過すると皮膚に発疹が現れ、髪や眉毛が抜けることがあります。発疹や抜け毛がみられるころには症状はかなり進行しています。全身に症状が出ないうちに、早めの治療が必要です。

鉄欠乏症貧血

鉄は血液を作るだけでなく、髪の毛にも欠かせない栄養素です。不足すると健康的な髪の毛が作られにくくなるだけでなく、頭皮まで十分な酸素や栄養を送れなくなり、抜けやすい細い髪が増えてしまいます。

抜け毛の原因を突き止める方法

抜け毛が気になりだしたら、原因を突き止める必要があります。原因を把握し、適切に対処すれば、抜け毛を減らせるでしょう。

日常生活を振り返る

生活習慣や食事バランス、ダイエット、過剰なストレスなどがないか振り返ります。抜け毛が増えた頃から飲み始めた薬がないかのチェックも忘れてはいけません。頭皮に負担がかかるヘアケア製品の使用はないか、誤った使用方法ではないかも合わせて確認しましょう。

体調の記録をつける

病気が原因の抜け毛では、体のしこり、高熱、体調不良等が現れることもあります。記録をつけておくと診察時に役立ちます。

病院で診療を受ける

ひどい抜け毛は病気が隠れているケースも少なくありません。皮膚科・内科・性病科などの受診を検討しましょう。

薄毛専門クリニックで診療を受ける

薄毛専門クリニックでは、抜け毛が気になる人も相談できます。早期に原因を突き止め治療を行えば抜け毛の悪化を防げます。

抜け毛の原因は多種多様 原因別の適切な対処が重要

女性の抜け毛の原因はさまざまで、一過性のものから大きな病気が隠れているものまであります。早期の治療が抜け毛の進行を遅らせ、症状の悪化を防ぎます。日常生活の改善でも抜け毛の改善が見られない方、より効果的な薄毛改善を目指したい方は専門クリニックへご相談ください。

当院はオンライン診療も行っております。忙しい方やお近くに専門病院がない方もお気軽にご相談ください。

参考URL

※1)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版 日本皮膚科学会ガイドライン
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
※2)日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版 日本皮膚科学会ガイドライン
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AA_GL2017.pdf
※3)膠原病 皮膚科Q&A 公益財団法人 日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/index.html

  • 松沼 寛

    HIROSHI MATSUNUMA

    1998年03月
    名古屋大学医学部 卒業
    1998年04月
    岡崎市民病院 勤務
    2000年04月
    名古屋大学医学部付属病院 勤務
    2008年07月
    市立四日市病院 勤務
    2020年04月
    イースト駅前クリニック岡山院
    院長就任
    2022年05月
    イースト駅前クリニック女性外来院
    院長就任
    資格
    泌尿器科専門医
    所属学会
    日本泌尿器科学会

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