ピルについて学ぶ

【低用量ピルの副作用・デメリット】具体的な症状や発症後の対応も解説

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低用量ピルは不正出血、吐き気、胸の張りなどの副作用が現れやすい薬です。しかし、その多くは三か月ほどで自然に治まるとされています。ですが、命に関わる血栓症やがんの発症リスクをアップさせる可能性が指摘されているのも事実。そこで今回は、低用量ピルの副作用とその注意点について詳しく解説します。

  • 松沼 寛

    HIROSHI MATSUNUMA

    1998年03月
    名古屋大学医学部 卒業
    1998年04月
    岡崎市民病院 勤務
    2000年04月
    名古屋大学医学部付属病院 勤務
    2008年07月
    市立四日市病院 勤務
    2020年04月
    イースト駅前クリニック岡山院
    院長就任
    2022年05月
    イースト駅前クリニック女性外来院
    院長就任
    資格
    泌尿器科専門医
    所属学会
    日本泌尿器科学会

低用量ピルに副作用やデメリットはある?

ピルとは、一般的に女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」を含む低用量ピルのことを指します。低用量ピルは避妊効果があるだけでなく、生理痛やPMS、肌荒れ、ニキビなど多くの女性が抱える悩みを解決してくれる効果も。

しかし、低用量ピルは女性ホルモンの分泌バランスを変化させる作用があるため、当然ながら副作用が現れることも少なくありません。

低用量ピルの副作用例と発症率はこちら

低用量ピルの副作用の期間はいつからいつまで?

低用量ピルは中用量ピルやアフターピルなど他の種類のピルよりも女性ホルモンの含有量が抑えられているため、副作用は現れにくいとされています。

しかし、服用を開始したばかりの頃不正出血吐き気体重増加などの副作用が現れやすいもの。ある研究によれば、低用量ピルを服用すると12%の頻度で不正出血が生じ、吐き気体重増加気分の変調乳房の腫れ頭痛なども5%程度の方に見られるとのこと。

しかし、これらの副作用のピークは飲み始めて1~2か月です。3か月ほど経つとほとんどの方は気になる副作用なく服用できるとされています。

とはいうものの、副作用の現れ方人それぞれ低用量ピルの内服を中止する理由の約半数は副作用とのデータもあります。副作用が現れたときは、自己判断で服用を中止せず、まずは処方してもらった医師に相談することが大切です。

(※1)

低用量ピルの副作用と発症率まとめ

発症率 症状
5%以上 悪心、吐き気
0.1%~5%未満 発疹、肝機能異常、むくみ・体重増加 、不正出血、乳房の張りや痛み、血圧上昇、嘔吐、腹痛、下痢、便秘、食欲不振、口内炎、頭痛、偏頭痛、めまい、肩こり、倦怠感、気分の落ち込み、イライラ、 ニキビ、シミの発生
0.1%未満 蕁麻疹、動悸、視力障害

低用量ピルは飲み始めて3か月以内の時期は副作用が現れやすいとされていますが、時間が経過すれば自然に改善していくことがほとんどです。

しかし、低い確率ではあるものの、服用後時間が経過しても上表のような副作用が出るケースもあります。多くは吐き気など軽度なものですが、重篤な症状が現れる可能性もゼロではありません。服用中に身体の変調を感じた際はできるだけ早く医師に相談するようにしましょう。

(※1、2)

特に注意すべきピルの副作用

血栓症

ピルの副作用は内服を続けるにつれて自然に改善していくことがほとんどです。しかし、血栓症には常に注意が必要になります。血栓症とは、血液に小さな塊ができることで血管を詰まらせてしまう病気のこと。「エコノミークラス症候群」として知られており、肺・脳・心臓などの重要な血管に生じると命に関わることもあります。発生頻度10万人に5人程度とされていますが、注意すべき副作用のひとつです。

こんな症状があるときは服用を中止!医師に相談を!

低用量ピルの服用を開始した後、急激に嘔吐・吐き気、頭痛、ふくらはぎの痛み・発赤・しびれ、息切れ、胸の痛み、頭痛、手足の脱力、視力の異常などが現れた場合は要注意です。血栓症の可能性がありますので放置せず、できるだけ早めに病院を受診しましょう。

(※3)

ピルの副作用でよくあるQ&A

ピルは高い避妊効果を持つばかりでなく、月経困難症PMSなどの症状を改善することもできます。しかし、上述したような副作用があるのも事実。では、ピルの副作用についてよく聞かれる疑問を見てみましょう。

Q. 副作用以外にピルにデメリットはある?

A.

低用量ピルは医療用医薬品であるため、入手するには医師の診察と処方を受けなければなりません。一度診察を受けて処方してもらったとしても、次に薬を出してもらう際には再び医師の診察や検査を受ける必要があります。

また、避妊目的でピルを服用する場合は健康保険が適応となりませんので、薬代や診察料などは自己負担通院にかかる時間や経済的な負担があるのもピルのデメリットの一つと言えます。

Q. ピルは乳がんになりやすいって本当?

A.

低用量ピルを服用すると乳がんになりやすいとの説もあります。乳がんはエストロゲンの分泌が多くなることで発症リスクが高まるとのこと。低用量ピルの服用はエストロゲンを補充することとなるため乳がんの危険性が指摘されているのです。

これまでにも低用量ピルと乳がんの関係を調べる研究は世界中で行われてきました。しかしながら、低用量ピルが乳がんの発症リスクを上昇させるとする明確なエビデンスはないのが現状です。

とはいうものの、乳がんの発症率わずかながら高めるとのデータがあるのも事実。低用量ピルを服用中の方は定期的に乳がん検診を受けるようにしましょう。

(※4)

Q. ピル服用中の不正出血は問題ない?

A.

不正出血は低用量ピルの代表的な副作用の一つ。その頻度12%に上るとのこと。しかし、多くは使用開始後3 か月までに自然と落ち着いてきます。そのため、低用量ピルの内服中に不正出血が生じても大きな問題はないと考えてよいでしょう。

ただし、ダラダラとした出血が続く場合は、子宮などに何らかの病気が隠れているケースも。さらに出血量が多くなることで貧血になることもあります。気になる不正出血が続くとき医師に相談するようにしましょう。

ピルは副作用が出やすいが、自然に落ち着いてくことがほとんど

低用量ピルは、不正出血吐き気頭痛胸の張りなど全身に様々な副作用を起こしやすい薬です。しかし、その多くは服用後3か月以内自然に治まっていくと考えられています。気になる症状があるときは、医師に相談の上で服用を続けていくようにしましょう。

低用量ピルは医師の診察と処方を受けなければ正規ルートで入手することはできません。一方で、近年では海外製の安価な低用量ピルを個人輸入できる通販サイトも多数存在しています。しかし、個人輸入で入手できる薬は偽物も多く紛れ込んでおり副作用が起きた時医療機関で対応してもらえないことも。

低用量ピルを入手するには定期的な通院が必要となり、経済的な負担も増えます。が、副作用が起きたときのリスクも考え、安全に服用していくには医師の診察と処方による正規ルートのものを使用するようにしましょう。

参考URL

※1)日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン」
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf
※2)MSD株式会社「経口避妊剤 マーベロン® インタビューフォーム」
https://www.msdconnect.jp/static/mcijapan/images/if_marvelon.pdf
※3)日産婦誌52巻7号p142「血液凝固のメカニズムとその対策シリーズ」
http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/52/7/KJ00001752794.pdf
※4)日本乳癌学会「経口避妊薬と乳がん」
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2019/guidline/g1/q2/#a2-2

  • 松沼 寛

    HIROSHI MATSUNUMA

    1998年03月
    名古屋大学医学部 卒業
    1998年04月
    岡崎市民病院 勤務
    2000年04月
    名古屋大学医学部付属病院 勤務
    2008年07月
    市立四日市病院 勤務
    2020年04月
    イースト駅前クリニック岡山院
    院長就任
    2022年05月
    イースト駅前クリニック女性外来院
    院長就任
    資格
    泌尿器科専門医
    所属学会
    日本泌尿器科学会

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