ピルについて学ぶ

低用量ピル・アフターピルの避妊確率は?妊娠してしまう場合についても

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ピル(低用量ピル)・アフターピルの避妊確率について解説します。避妊方法のひとつとして知られるピルですが、実際どれほど効果があるのか気になる方も多いのではないでしょうか。避妊効果や妊娠のリスクを高めてしまう場合など、ピルの適切な使用方法とともに解説します。

  • 松沼 寛

    HIROSHI MATSUNUMA

    1998年03月
    名古屋大学医学部 卒業
    1998年04月
    岡崎市民病院 勤務
    2000年04月
    名古屋大学医学部付属病院 勤務
    2008年07月
    市立四日市病院 勤務
    2020年04月
    イースト駅前クリニック岡山院
    院長就任
    2022年05月
    イースト駅前クリニック女性外来院
    院長就任
    資格
    泌尿器科専門医
    所属学会
    日本泌尿器科学会

ピルの避妊確率

ピルの避妊確率 コンドームの避妊確率
理想的な使用※1 99.7% 98%
一般的な使用※2 92% 85%

※1選んだ避妊法を正しく続けて使用している場合

※2飲み忘れを含め一般的に使用している場合

ピルの避妊確率は99.7%とされています。しかし、これは理想的な使用ができた場合の避妊確率であり、飲み忘れなどを含め一般的な使用方法では92%といわれています。コンドームを理想的に使用した場合の避妊確率が98%一般的な使用方法では85%であること考慮すると、ピルの避妊効果の高さがよく分かります。とはいえ、100%避妊できるわけではないので、避妊目的で使用される方は、日頃から体調を記録し、妊娠の兆しがないかチェックするようにしましょう。

(※1)

ピルの休薬期間中の避妊確率

ピルは休薬期間中でも避妊効果が継続されます。休薬期間とはピルを服用しない期間のことです。通常ピルは28日を1サイクルとして飲むスケジュールが構成されており、最初の21日間はピルを服用し、その後7日間の休薬期間としピルの服用を止めます。そして、8日目からまた新たなシートのピルを飲み、以降同じスケジュールで服用するのが一般的です。

休薬期間中はピルを服用しないので、妊娠のリスクが高まるかと心配されるかもしれませんが、避妊効果に変わりはありません。ただし、休薬期間の前後にピルを飲み忘れると排卵してしまう可能性があり、妊娠のリスクが高まってしまうため注意が必要です。

(※2)

アフターピルの避妊確率

アフターピルとは、避妊に失敗してしまった際に緊急避難的に用いられるピルのことです。性交後72時間以内に服薬することが定められています。摂取したタイミングが早ければ避妊確率も上がるとされており、24時間以内の服用で95%の避妊率が得られると報告されています。72時間を超えると60%程度まで避妊率は落ち込んでしまうので、性交後できるだけ早く服用することが大切です。

ただし、アフターピルはあくまでも緊急避妊に用いられるものであることを頭にいれておいてください。また、あくまでも避妊ができなかったケースで緊急避難のために用いられるもので中絶目的に使用することもできません。

(※3)

ピルの避妊確率を下げてしまう原因

休薬期間に入っても生理が来ない場合下記の原因が考えられます。

ピルは一般的な避妊法の中でも高い避妊確率がありますが、適切な服用が叶わなければ効果も減少してしまいます。どのような要因がピルの効果を下げてしまうのかを認識し、注意して服用してください。また上記に当てはまる場合、他の避妊方法と併用するのがおすすめです。

飲み忘れ

ピルの飲み忘れは避妊確率を下げることに直結します。ピルを始めたばかりの時期に起こりやすいので注意が必要です。服用する時間を決めておく、眼のつくところに置いておくなど、飲み忘れないような工夫を考えておくといいでしょう。飲み忘れに気づいたタイミングで対処法が変わるので、詳しくは下記をご覧ください。

他の薬との併用

他の薬との相互作用によって、ピルの効果が減弱し、避妊確率が低下してしまうケースもあります。定期的に他の薬を内服している方は、ピルを始める前に医師に相談してください。また、すでにピルを飲んでいる方は、新たな薬を使用する前に飲み合わせについて医師に確認することをおすすめします。

嘔吐

ピルを服用して2時間以内に嘔吐してしまった場合、成分が十分に吸収されていない可能性があります。ピルを開始したばかりの方の中には、嘔気の副作用がでる場合もありますので十分注意しましょう。嘔吐してしまった場合は、速やかに追加で1錠内服するようにしてください。なお、2時間を超えてから嘔吐した場合には、翌日通常通りの内服で問題ありません。

(※1、4)

下痢

体調を崩して下痢がある場合や、ピルを内服して2時間以内に下痢をしてしまう場合には速やかに1錠追加して服薬してください。さらに、24時間以上下痢が続いている場合には、薬の成分の吸収が不完全になると考えられるため、ピルの服用は中止してください。
再開する場合には速やかに1錠服用し、翌日から通常通り内服するようにしてください。

(※4)

ピルを飲んでいると妊娠に気づかない?

ピルを飲んでいても一定の確率で妊娠する可能性があります。1サイクル28日間のうち7日間が休薬期間にあたり、通常その間に生理中のような出血、消退出血がみられます。ピル内服中で消退出血がない人は1%未満。休薬期間には消退出血があることが通常で、休薬期間のタイミングで出血がみられない場合には、出血が遅れているだけということも考えられるものの、妊娠の有無を確認する必要があります。

(※4)

ピルの避妊確率を上げるには理想的な使用方法を心掛けましょう

低用量ピルは定期的に服用することで高い避妊効果を得ることができます。とはいえ、適切な使用方法ができていないと、避妊確率が低下してしまうので注意しましょう。

万が一、避妊に失敗してしまい緊急避妊の必要がある場合には、アフターピルという方法もあります。いずれのピルも、入手するには処方箋が必要になるので、専門外来で相談のうえお求めください。

(※1、2)

参考URL

1)日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」
http://www.jsognh.jp/common/files/society/guide_line.pdf
2)リプロ・ヘルス情報センター
http://rhic.kenkyuukai.jp/special/?id=4356
3)日本産婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針」
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/kinkyuhinin_shishin_H28.pdf
4)低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf

  • 松沼 寛

    HIROSHI MATSUNUMA

    1998年03月
    名古屋大学医学部 卒業
    1998年04月
    岡崎市民病院 勤務
    2000年04月
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    2008年07月
    市立四日市病院 勤務
    2020年04月
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    院長就任
    2022年05月
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